1.ボディ・マップ
ボディ・マップとは、頭の中に「自分がどのように描かれているか」という「からだの地図」のことです。
例えば、あなたの背骨は、どのくらいの太さで、からだのどこからどこまで、ありますか?肩甲骨はどこに?どんな形?
肺は?
「呼吸が大切」と言われるけれど、では呼吸の動きはどのように、どこに起こりますか?
あなたはこれらを、どのように感じていますか?知っていますか?
最近の脳科学の研究で、自分の持っている「からだの地図」が精確ならば、「動きがうまくいく」ことがわかってきました。例えば、楽器を演奏する時の「指の動き」や、歌う時の「呼吸の動き」も…です。
逆に言えば、指がうまく動かないならば、演奏中に背中が痛くなるならば、歌う時からだが苦しいならば、それは使い方やテクニークの問題以前に、「そもそもからだがどうなっているのか」の誤解があるかもしれないと、再考の余地があるということです。
私は2001年にアメリカで、初めて「ボディ・マッピング」を学びました。肩甲骨について初めてバーバラ先生にレッスンしていただいたその日、あたりが暗くなるのにも気がつかず、ピアノの練習に何時間も没頭した自分を今でも覚えています。ピアノの練習が楽しいなんて! 何時間弾いても、からだが重くない、どこも痛くない!指はいつもより動きやすい! 和音も汚くない!
「ボディ・マップが精確ならば、動きがうまくいきます!」
ボディ・マップというものがあるらしいと音楽の分野で最初に気づいたのは、チェリストで、アレクサンダー・テクニーク教師の、オハイオ州立大学音楽学部で教えていたウィリアム・コナブル教授(1942- )です。それを「コナブルのボディ・マッピング」® として、わかりやすい文章と図にまとめ、全6時間で指導をし始めたのは、同じくアレクサンダー・テクニーク教師のバーバラ・コナブル女史(1940- )です。
どちらかの写真?
Andover Educatorsの創始者 Barbara Conable
July.2007, AE会議でDenison University, Ohio
【英語の文献】
・Barbara Conable: What Every Musician Needs to Know about the Body
・Barbara Conable: Structures and Movement of Breathing
・Thomas Mark: What Every Pianist Needs to Know about the Body
・Jennifer Johnson: What Every Violinist Needs to Know about the Body
・Stephen Caplan: Oboemotion~What Every Oboe Player Needs to Know about the Body
・M.Malde,M.Allen,K.Zeller: What Every Singer Needs to Know about the Body
・David Vining: What Every Trombonist Needs to Know about the Body
・David Nesmith: The Breathing Book (Horn)
・Stephen Caplan: The Breathing Book (Oboe)
バーバラ女史以外の著者は、彼女の指導・トレーニングを受けた演奏家たち(アンドーヴァー・エジュケーターズ®)によって書かれています。
【私のおススメの日本語の文献】
・音楽家ならだれでも知っておきたい『からだ』のこと(誠信書房)
・ピアニストならだれでも知っておきたい『からだ』のこと(春秋社)
・ヴァイオリニストならだれでも知っておきたい『からだ』のこと(春秋社)
・トロンボーン奏者ならだれでも知っておきたい『からだ』のこと(春秋社)
・オーボエモーション(春秋社)
ウィリアムはある時、同僚から「ヴァイオリンの生徒を見てほしい」と頼まれました。その生徒は「右腕を肘から曲げることが難しい」とのことでした。よく観察してみると、実際の肘のところからではなく、それより5㎝上(つまり上腕部の真ん中)から、腕を曲げようとしているようでした。“ヴァイオリンを習い始めた子供の頃のイメージで腕を動かそうとしているのでは……”と考えた彼は、彼女にそのことを伝え、“実際の肘関節はどこなのか”を示しました。すると彼女は「それならできるわ!」とつぶやくと、すぐに肘を動かしながら自由に弾き始めました。
ここで重要なことは、実際のからだと、自分が思っているからだ(『ボディ・マップ』)が違っている場合、私たちは、「自分で思い込んでいる『ボディ・マップ』にしたがって、からだを動かそうとする」ということです。
このヴァイオリンの生徒の場合は、自分が思い込んでいたところには関節がないので、“肘が思うように動かない”という現象が起こっていました。そこで、この無意識の思い込みに気づき、現実のからだと同じになるように修正できたことで、その瞬間から肘が自在に動くようになったのです。
このように、『ボディ・マップ』にアクセスして、それが不正確である場合、意識的にそれを修正することを『ボディ・マッピング』と呼びます。
2.アンドーヴァー・エジュケーターズ® Andover Educators® が教える
「音楽家ならだれでも知っておきたい『からだ』のこと」
バーバラはすでに引退していますが、その指導法は彼女がトレーニングし認定した音楽家たち(→Andover Educators®)に引き継がれました。http://bodymap.org/main/
Amy Likar, Flutist
Director of Training and Immediate Past President of Andover Educators
2005年 AE会議で Asilomar, Ca.
バーバラは音楽家に必要なボディ・マッピングを、次のように体系化し、6時間のコースとして教えました。
アンドーヴァー・エジュケーター6時間コース
Six-hour Course for Musicians
「音楽家ならだれでも知っておきたい『からだ』 のこと」
What Every Musician Needs to Know about the Body
(日本語にするとなんだか難解に感じますが、まず英語からそのまま訳しました。実際のコースではわかりやすく解説しますので、難しくありません。また、直接的に、演奏に役立つ内容です!)
The course content is:
Hour One: Putting Music Training on a Secure Somatic Foundation.
【1時間目】音楽訓練に確実な身体的基礎を与える
~精確で適切なボディ・マップを培うことによって音楽家の動きをトレーニングする。
感覚的識別力とそれに呼応できる力をトレーニングする。音楽する時に欠かすことのできない包括的注意力のトレーニング。
Hour Two: Mapping the Core of the Body and the Places of Balance.
【2時間目】からだの中芯部と、バランスの起こる場所の地図をつくる~脊椎、脊椎の上にある頭のバランス、骨盤の上にある頭と胸部のバランス、脚の上での胴体のバランス。
Hour Three: Mapping the Arm Structure.
【3時間目】腕構造のマッピング~4つの腕の関節。小指の先から肩甲骨までのしくみ。繊細な動きで、長くなったり寄り集まったりする中芯が、腕全体の動きをサポートする。
Hour Four: Breathing.
【4時間目】呼吸~呼吸の構造と呼吸の動きのマッピング。繊細な動きで、長くなったり寄り集まったりする中芯を含んで。
Hour Five: Mapping the Legs.
【5時間目】脚のマッピング~3つの脚の関節。演奏する時、歌う時の脚の動き。特に注意が必要なのはペダルを踏む時。脚を踏み出す時の反射の動きは演奏中に動きに役立つ。
Hour Six: How To.
【6時間目】実際的応用~あなたの楽器を用いて。
基本的に2日間、あるいはもっと日数をかけて教えられます。
同じ題名の本「音楽家ならだれでも知っておきたい『からだ』のこと」は、このコースの教本かつ復習用テキストです。
この本について、「図が多くて楽しそうだけれど、説明が少なくよくわからない、表面的内容だ」と批評をする人があります。しかしこの本は復習用テキストなので、それは当然なのです。コースを実際受講することで初めて、本の内容が理解できるようになります。
わかりやすい理論と、骸骨モデルを使った楽しい指導法!
アンドーヴァー・エジュケーターの「ボディ・マッピング」コースは、<からだの動きの理論・感覚編>です。「こんな基礎を音楽する時の動きの理論として知っておいたら早く向上できます、からだが痛くなりません」という内容を6時間でお教えし、実際の動き・演奏で確かめます。コースの最後の時間と、ご希望がある場合のその後の個人レッスンでは、楽器を演奏しながら・歌いながら、ボディ・マップをどう使うのか、(あるいは、どう使ってはいけないのか)を指導していきます。アンドーヴァー・エジュケーターが行う個人レッスンは、いわゆる楽器・声楽の実技のレッスンですが、アプローチが「あなたのからだとその動きから」なのです。
ヴァイオリニストやピアニストが、「指を丸くするのか、寝かせて伸ばすのか」というテクニーク論争に忙しいこともあるでしょう。しかし、そこは楽器のそれぞれの先生方にまかせておいて、アンドーヴァー・エジュケーターは「指の関節はここにあり、このように動きますよ」、という情報をお教えします。テクニーク以前の重要なことが「からだ」にあることをお伝えするのがこのコースの目的で、アンドーヴァー・エジュケーターとしては、「演奏テクニーク」については指導しないことになっています。
近年日本でも、多くの人が演奏時の自分のからだのことに興味を持つようになってきました。私も音楽大学や高校音楽科の特別授業や、音楽の先生方の研修会によく呼ばれます。直接、感覚に働きかけるために、解剖図や骸骨モデルを使います。ギムニクボールを使ったトレーニング方法をお教えすることがあります。
「からだ」 のことが頭とからだで理解できると音が一瞬で変化し、しかもそれを皆で一緒に認識できるので、演奏している人も、聴いている人も、生き生きとしてきます。私自身も毎回、「ボディ・マッピング」の有効性を感じるとともに、新しい発見をしています。
一方で、どうも頭の中だけに留まり、音楽するからだの動きにスムーズに結びつきにくい人もいます。急に一度に、ボディ・マッピングを全部自分のものにしようと欲張りすぎることが原因のこともあるようです。
一つずつ、少しずつ…の積み重ねが、いずれ大きく成長することを覚えておきましょう!短い時間を積み重ねていくことは、一度に長い時間を掛けるのと少し意味が違います。積み重ねが大切です。そうです、続けることが大切です。そのために、復習用のテキスト「音楽家ならだれでも知っておきたい『からだ』のこと」があるのです。
アメリカではすでに、ジュリアード音楽院やオハイオ州立大学をはじめ多くの音楽大学でアンドーヴァー・エジュケーターが教え、その成果が報告されています。
3.アレクサンダー・テクニーク
「ボディ・マッピィング」は、アレクサンダー・テクニークの基本的概念を元に、音楽家のために体系化されました。アレクサンダー・テクニークの基本である個人レッスンとは違って、自分で復習できるのが最大の利点です。逆に言えば、アレクサンダー・テクニークのレッスンは、生徒側は何もしなくてもよく(しかし、その時の自分のからだに起こる微妙な変化感じる力は必要ですが)、ただレッスンを受けに行きさえすればいいという気楽さと利点!?があります。
ですから私は、ドイツで、スイスで、アレクサンダー・テクニークのレッスンを受けに行くのがとても好きでした。今日は自分のからだの中で何が起こるのか、ワクワク。しかも、何も準備していく必要がないのですから。
留学から帰国した1989年には、日本人のアレクサンダー・テクニーク教師はまだ一人もいませんでした。今では、多くの日本人教師が活躍しています。
アレクサンダー・テクニークについて、続けてもう少しご説明しましょう。
F.M.アレクサンダー(Frederic Matthias Alexander 1869-1955)は、オーストラリア・タスマニア島生まれの俳優でした。特にシュエクスピアの朗唱者として、有望なスタートを切りました。しかし声がかすれたり、呼吸に問題が起こり、舞台上で声が出なくなるようになりました。
ところが発声の先生やお医者さまはどこも悪くないと診断し、ただ声を休めるようにだけ指示しました。
確かに彼が声を使わないでいると、彼の声は元通り出るようになるのです。でも、それでは彼は困ったのです。なぜなら彼は声を使う職業で、彼がまた声を使えば声は再び出なくなるからです。
ある日、彼は「自分が声を使っている間にしていることに、問題の原因があるかもしれない」と考えて、自分でその解明に乗り出すことにしました。鏡の前で、自分の動きを注意深く観察したのです。そして、次のことに気づきました。
朗唱を始めると、
「首を硬くして頭を後ろに押し下げている」
「喉を押し下げ、あえぎながら息を吸い込んでいる」
つまり、「しよう」と思った瞬間に、「自分で自分を邪魔している」
ことに気がついたのです。
最終的に、F.M.アレクサンダーは、次のことを発見しました。
首がらくに(“neck free”)、
頭が脊椎に対して前と上の方に行き(“head forward and up”)、
背中が長く広く(“back lengthen and widen”)、
「まかせる」(“let”)と、
私たちに生来そなわっている
初源的調整作用(“primary control”)が働いて、
効率的に自分を使えます。
自分の邪魔しているものからその自然な使い方への橋渡しは、
自分に「気づき」(Aware)、
邪魔しているものを抑制(“Inhibition”)することです。
修正方法は、正しいと思われることを新たに“する”のではなく、
間違っていること・癖になっていることのもとの動きを“止める”、
すると、“自然な動きが戻ってくる”という考えです。
これらは一見なんでもないことに思われますが、「自分のからだを再教育できる」という、人類にとっての大きな発見だと言われています。そして、「今後の人間の進化にも影響を与えるだろう」、と考えられています。
F.M.アレクサンダーは「手」を使って、上記の言葉を唱えながらその状態に生徒たちを導きました(“Direction”を提示する)。最終的には、生徒がその言葉を“思った”時、そのからだの状態になることを目指します。つまり、「首をラクに」と思っても、「首がラクにならない」ので、彼は手を使って「首がラクになる」こと、つまり動きと言葉(自身の思い)が一致するよう促したのです。彼のこの手法はHands-On Workと言われます。
1904年ロンドンで、初めは俳優たちに、それから知識人たちに教え始めました。教育哲学者のジョン・デューイや作家のバーナード・ショー、オルダス・ハクスリー、ノーベル賞受賞者のニコラウス・ティンベルゲンも、またポール・マッカートニーやスティングも、アレクサンダー・テクニークを学びました。このようにF.M.の発見は、1955年に彼が亡くなった後も、アレクサンダー・テクニークとして、世界的に大きな広がりを持つことになります。
アレクサンダー・テクニークの基本的なレッスンは、いすから立ったり座ったりするチェアー・ワークと、テーブルの上に膝を立てて仰向けに寝ころがるテーブル・ワークの2種類で成り立ちます。
これらのレッスンは、自分で気づかないからだの根本的な癖を修正しますから、間接的、また時には直接的に演奏技術の向上につながります。そこで欧米では、音楽・演劇大学のカリキュラムに組み込まれることが多くあります。
私自身もドイツ留学時代から約10年に渡り、ドイツ・スイス・イギリス・アメリカ・日本で、アレクサンダー・テクニークの個人レッスンやワークショップをいろいろな先生から受けました。
その中でもっとも印象に残り、一番長く教わったのは、イスラエル人のエゼキエル・アインシャイ先生、通称ヘジィ先生 (Yehezkel Ein-Shay1945-2012)です。奔放な性格とは裏腹に、その静かで深いワークが定評でした。彼のHands-On Workからは、言葉にできない「からだの中の深いつながり」や「繊細な動きの流れのようなもの」が伝わってきて、私の方は子どもの頃に戻ったような懐かしさで茫然とすることもありました。そして1・2週間は、声の出が断然違っていました。
ヘジィ先生のHands-On Workを日本で一番継承しているのは、田中優行(Tanaka Masayuki)さんです。アレクサンダー・テクニークのレッスンが必要な人、興味のある人には、私は田中さんのレッスンを推薦しています。彼の誠実な性格と、ヘジィ先生から長年訓練を受けた確実なHands-Onの技術は、とても信頼できます。
アレクサンダー・テクニークに関する文献は、昨今、日本語でもたくさん出版されていますが、世界的によく読まれている良書を1冊、ご紹介しましょう。
マイケル・ゲルプ著/片桐ユズル・小山千栄訳:
ボディ・ラーニング~わかりやすいアレクサンダー・テクニーク入門
私がドイツでレッスンを受け始めた時、最初に薦められたのもこの本でした。
Michael Gelb:Köper Dynamik ~Eine Einführung in die Alexander-Technik~
原本は英語です。
Body Lerning ~An Introduction to the Alexander Technique~
4. 音楽することとアレクサンダー・テクニーク
私はドイツ留学時代に、アレクサンダー・テクニークに出会いました。大学でのレッスンとは別にミュンヘンで声楽の個人レッスンを受けていたジーン・シュタヴスキー先生がそのきっかけを与えてくださいました。
シュタヴスキー先生の声楽レッスンは、今まで私が受けてきたどの先生とも全く違うレッスンでした。毎回毎回、新しい“気づき”が起こり、「私は先に進めている!」と幸せな気分になるのでした。(詳しくは後述)
自分に「気づく」ことは、自分をよりよく「変えられる」ことの第一歩だと明確に気づいたのはレッスンを受け始めてだいぶたってからのことですが、ある時、そんな先生の口から、「アレクサンダー・テクニークを知っていますか?」と尋ねられ、「きっと音大の授業にあるから、探して受けてみるといいわ」、と言われました。
当時、音大のアレクサンダー・テクニークの先生は、スイスから通って来られているホルン奏者で、一人だけいらっしゃいました。人気のあるレッスンで、3ヶ月ほど待って毎週受け始めました。
アレクサンダー・テクニークのレッスンはからだの再教育で、それぞれが持つ癖(無意識で起こるので、本来自分がやりたいことの妨げになっていることに気づかない)を取り除き、“本来”の機能(つまり“自然な動き”)にアクセスし、目覚めさせ、それを自分で使えるように、教師の「手」を使ってレッスンされます。
マッサージなどの「治療」「医療行為」ではなく、生徒が「学習」するので「教育」の分野に入っています。
ドイツで音楽をする時、嫌というほど自分が日本人であることを思い知らされ、文化の違いにも愕然とし悩んでいた頃でした。シュタヴスキー先生の声楽レッスンと相まって、アレクサンダー・テクニークのレッスンは、からだがバランスよく変化することで自分に気づき、自信がわき、「私にできることは何なのか」を教えてくれたのです。
ところが、私のところに最近、「アレクサンダー・テクニークのレッスンを受けたら、“首をラクに”ばかり言われて、どう演奏したらいいのかわからなくなった」と言って来られる演奏家の方があります。「来週、ヴァイオリンのオーディションがあるのに、いったいどうしたらいいのでしょう?」と。
あるいは「首のことばかり気になって、自分の演奏感覚が変になってしまった」と言われる管楽器奏者やオペラ歌手の方も。
これらの症状?は、パフォーマンスとアレクサンダー・テクニークの関係を誤って受け取ってしまった結果です。音楽をするにはエネルギーが必要です。この音楽するエネルギーを伴いつつ、演奏の中で自分のからだをよりよい方向に再構築していくことは可能です。
5.アレクサンダー・テクニーク教師とアンドーヴァー・エジュケーター
アレクサンダー・テクニーク教師は、アレクサンダー・テクニークを教えます。必ずしも音楽家ではありません。しかし時には、音楽がもともとご専門だった方もいるでしょう)。
アンドーヴァー・エジュケーターは、音楽のレッスンをします。創始者のバーバラ女史を除いて、全員が現役の音楽家です。演奏活動を現役で行うことが推奨されています。また、アンドーヴァー・エジュケーターの中にも、アレクサンダー・テクニーク教師の免許を持っている人もいます。(私は取得していません。)
アレクサンダー・テクニークのレッスンの基本は、教師の手Hands-Onを使った、1対1の基本のチェアワークとテーブルワークからなる個人レッスンです。
アンドーヴァー・エジュケーターは、Hands-On Workはしませんが、必要ならば手を使うことが許されています。
元来、アレクサンダー・テクニークの基本レッスンには、楽器を演奏しながらのレッスンはありませんでした。しかし、F.M.が亡くなった後、第1世代の教師たち、特にアメリカを中心としたグループが効率よく教えるために、グループレッスンやパフォーマンスをしているからだを教えることを得意としたこともあり、今では楽器の演奏をしながらのレッスンも多くなっています。
アレクサンダー・テクニークの基本のレッスンは、日常や音楽する時には起こらない「静かな自分のからだ」を見つめる貴重な機会となります。しかも、どのように演奏に生かすのかをレッスン時には“考えない”というのが、私の好きな受講方法です。最終的な直接の目的を考えないから、心もからだも解放され、新しい可能性がより花開くでしょう。このレッスンはアンドーヴァー・エジュケーターにはできません。
但し、Hands-Onの技術は教師によって異なりますから、自分に合った先生を見つけることが大切です。また、ある程度の回数、継続が必要となります。
というわけで、区別が幾分難しいのかもしれませんが、一番大切なのは、あなたがよいと思われる指導者のレッスンを受講することです。あなたが希望をもって先に進めているのなら、それで大丈夫です!!
またもし迷ったら、その迷い・疑問をきちんと相談しましょう。それを相談できるかどうかも重要なポイントです。