Hirokoの 2週間アムステルダム滞在記 2002年9月

おもしろトピック・・・これぞオランダ!?

★「飾り窓地区」(“red light district”)で バッタリ!
アムステルダムのかの有名な「飾り窓地区」。日本人にとっては観光名所のひとつ(たぶん一般的には・・)。赤いライトの窓からは美女(とは限らないが?)の微笑みとあやしい誘いが。ここは14世紀から“世界最古の職業”が行われていた歓楽街。今も政府公認の売春地区。「コーヒー・ショップ」では麻薬も買える。(コーヒーを飲む場合は「カフェ」に行くんだよ!)
マリアンネ先生と、ちょうどアメリカから先生を訪ねて来ていた義兄フーゴーと3人で、その「飾り窓地区」に出かけることになった。もちろん? フーゴーの強い希望で・・・は・は・は・・・。アムステルダムでも治安のよくない代表的地区。私自身は2回目。以前も男性と共に・・(誰、誰と?・・・まあ、いいじゃない・・・)。逆にいうと、男の人がいないとスリの恰好の獲物になりやすい。

さて、日本人的感覚からいくと、到底理解に苦しむというかショックを受ける、あけっぴろげさ。何でもありますよ、何でも買えますよ。観光客は苦笑いとうらやましさ?のまなざし。オランダ人にはただの通り道、時には真面目に価格!?の交渉。まとまるとカーテンの向こうに消えていく。出て来た時には、満足してニンマリ。(というところにちょうど出くわせて、私は思わずプッと吹き出してしまった。)まあ、こういう場所に先生と一緒に出かけている私も私だろうけど、(先生も先生だ・・・は・は・は・・・)、この感覚はオランダ特有だ。こうして犯罪を防いでいたり、麻薬だって軽い麻薬をオープンにすることで、重症になるのを防ごうという考えだ。かといって、オランダ人がみんなハッシュを吸っているかというと、もちろんそうではない。でもその管理は自己に任されていることには違いないし、「あなたのお好きなように」というオランダのこの寛容な感覚は、日常生活の端々に現れる。他人のことにはあんまりかまわない。日本と一番感覚的に遠いヨーロッパの国でないかと、私は思う。

さて、この「飾り窓地区」でばったり。なんとマルテンさん(私のリサイタルのピアニスト)に会った。ものすごい人ごみの中でよく見分けられたものだが・・。最初私たちの反応は「ああ~~~!マ~ルテン!奥さんには内緒にしておくから大丈夫よ・・!!」が、彼にとっては何ということなく、自分のおうちに帰る単なる通り道とか。な~んだ私が高校の時、美観地区を帰り道にしていたのと同じか。でも美観地区と飾り窓地区・・・・・えらい違い(笑)。彼のアパートはこの地区を通り抜けた所にあり、またオペラ劇場のすぐ近く。アムステルダム中央駅からも近い。

しかし驚くのは、この「飾り窓地区」はいわゆる1階で、2階3階には一般の人が普通に住んでいるということ。これまたオランダかも!? 旧教会の荘厳なカリオンも鳴り響いていれば、麻薬を吸うための芸術的な粋なキセルもいっぱい売られている。

皆様、気をつけて是非一度お出かけ下さい。こういう所もあるのです。

★レストランのネコと犬
マリアンネ先生とよく行くレストランやバーが4つある。確率的にどうなのか、どのレストランもネコか犬を飼っている。つまりネコや犬がレストランにいる。カウンターを歩いたり、テーブルの下に来たり。衛生上こんなのでいいの?と思っていたが、そのうち慣れてしまってなんともなくなった。
それにお客が犬を連れていることもよくある。ちなみにマリアンネ先生は2匹のチワワを連れて行く。私たちの食事が終わるまで、おとなしくイスの上で眠っている。大きな犬はテーブルの下で、おとなしくしている。犬をレストランに連れて行くことに最初は驚いていたけれど、そのうちずっとおとなしく何時間でも待っている、犬のお行儀よさの方に感心するようになった。現に一度もトラブルに出くわしたことはない。

さてそれはそれとして、犬の糞が道のいたる所にあるのには困りものだ。大きい犬も多いから、・・も大きい。オランダの・・害はもう少し何とかならないものかな。
それにしてもペットを飼うことが日本よりずっと一般化しているし、24時間体制の動物専門の救急車だってある。動物の好きな方は、オランダの方が日本よりずっと住みやすいですね。

★オランダの道路事情
一見ルーズそうに見えるオランダ人だが、時間には正確だ。バスも時間通りに来る。バスはドイツよりも日本よりもずっと正確。なぜならバスの運転手は時計をこまめにチェックしているし、バスの通る道は渋滞しそうなところでは一般車と別になっている。つまり一般車には通れない車線がある。かといってバスは一般車と同じ車線も走る。これはオランダ特有で、この道路のシステムを誰が考えたのか、偉い!と思う。また住宅街などのあまりスピードを出してほしくない所は、道が所々大きく盛り上がっている。つまり運転する側からいうと、揺れが激しすぎるのでスピードを落さざるを得ないというわけだ。日本もこれを採用したらどうかな。

また、自転車専用の道もある。車道と歩道の間。赤っぽく路面が塗られている車道。これも便利だ。それもそのはず、自転車人口の多さ。しかし、自転車はボロなこと、ボロなこと。捨てられているのかと思ってよ~く見ると、どれにもものすごくごつい鍵がかかっている。運河の手すりや街灯にガチャンとひっかけて。自転車の盗難もまたすごいのだ。カーステレオの盗難以上に。(カーステレオは、アムステルダムの中心部では車から降りるたびにひきぬいて座席の下の見えない所に入れておくのが常識。こうしないと盗まれる危険性が高い。・・・そうなのだ、ステレオが引き抜けるようになっているのか、とこれまた別のところで感心。)

★非統一?通貨ユーロ
ユーロは2002年からの欧州の統一通貨だ。オランダは中でも、最初にユーロに移行した国だ。 さてそのユーロ。実は国によって違う。つまり紙幣はどこの国でも同じだが、コインの方は表(裏は同じ裏(表?)はその国の模様だ。オランダでは以前と同じく、ベアトリクス女王の横顔。つまり、コインのユーロは?種類あるというわけだ。(えっと何カ国だったっけ?!)

私としてはオランダの25ギルダー札に慣れたところだったから、20ユーロ札は使いにくかった。25というのは4分の1という感覚で、紙幣もコインも慣れると随分便利だった。50ギルダー札の黄色のひまわりの絵もとても好きだったから、ああ残念。それを見る度に、ゴッホのひまわりの前で雷に打たれたように立ちつくしたのを思い出していたから。

★オランダのレストラン
外国への長期滞在で大きな問題のひとつは食べ物ではないだろうか。特にこだわりのない私もしかり。オランダでは、中華料理とインドネシア料理がまずは比較的お勧めかも。でも、ご飯はパサパサで、しかもアルミの容器に入ってくるから、最初はなんだか嫌だった。ジャスミンティーの陶器の急須やカップもよくふちがかけているし・・・。でも、ライチからできている中国の白ワインは、日本では見かけたことがないから、楽しみのひとつ。インドネシア料理でご飯にかけて食べるココナッツなどの粉末も、なかなかいいよ。エチオピア料理、トルコ料理・・・もちろんフランス料理、イタリア料理、それぞれの国の人たちが営んでいるレストランは、ドイツと同じジャガイモの国オランダの料理を多彩に彩り、オランダ人の舌を豊かにしているに違いない。しかしこれも、植民地支配をはじめ、多民族を受け入れてきたオランダという国の長い歴史のひとつなのだ。

★日本人としての自覚
外国に行くと、自分は自分である以上にまず、日本人ということを嫌でも自覚させられる。つまり私は誰か以上に、私はどこから来たかと聞かれる。もちろん名前(名字ではなく名前)を先に言うけど、でもでもだ。また、日本とアメリカの関係が良好だから、アメリカに行ったときは郵便物をはじめ何やかやがとてもスムースだった。ドイツにいる時は、第2次世界大戦で同じ側だったことを改めて感じた。(この若い?!何も知らない私が・・。)必要以上に対日感情がとてもいい。オランダにいるとそれがそうではなくなる。韓国では何も知らない私は、とても大変だった。もっとも、どの韓国人の友達にも、Hirokoは日本人じゃあないみたいと言われて、最初はうれしかったけど、そのうちなんと言っていいかわからなくなった。南アフリカでは白人のお金持ちの友達の家にいたから、最初黒人は皆、犯罪者に見えてしまった。でも街行く人たちの笑顔や白い歯がとてもきれいだった。後で黒人のうちにホームステイしたことのあるドイツ人の友達から全く別の南アフリカの印象を聞いて、ちょっとショックだった。

私にとってはオランダもドイツも同じヨーロッパの国だし、ましてや韓国はお隣りの国だ。だから政府に声を大にして言いたい。戦争責任やら、従軍慰安婦やら・・・とにかく歴史上の日本の国としての過ちはきちんと謝罪してほしい。また歴史の教科書は、日本だけでなく韓国はもちろんのこと、他の国々の人たちと合同で作ったらどうか。欧州の共通の歴史教科書のように。だってあまりの歴史認識の違いに唖然とさせられるから。世界的なある程度の共通認識が必要だし、これからはもっと大切だと思う。でも一方で、それぞれの立場があり、見方が違えば全く逆の事実になってしまうから、それが難しいのもまた理解できる。

私は音楽を学ぶために他の国を訪問したのに、音楽すること以前に日常の生活で、私とは直接関係ない(私が日本人である以上関係はあるけれど、直接どうすることもできないという意味で)多くの過去の出来事に対する疑問を強く感じた。敢えてそうしようと思ったわけではないのにね。これがその国に生活するということかも。

さて、歌うことに戻って、どうして日本の伝統的な声がヨーロッパのそれと全然違うのか、気候も宗教や文化以上に当然大きく影響する。脂っぽい私の肌もヨーロッパではガサガサになりそうになる。(脂っぽくてよかったぁ~・・と妙な感慨・・・は・は・は・・)

オランダでは母国語のオランダ語のほかに、独語、英語、仏語など3・4ヶ国語しゃべれるのが一般的。すごいなあ~と思っていたら,小国ゆえにドイツ人が来れば独語で話さなければいけないし、フランス人には仏語で・・ということで、元を正せばあまり喜ばしいことではないらしい。なるほどそうも言えるんだと納得したけれど、やっぱり何ヶ国語も難なく話せる姿を見ていつもやっぱり感心してしまう。でも、ホテルで出会ったチェコからのビジネスマンに、日本語はヨーロッパでもポピュラーになりつつあるんだよと言われて、ちょっとうれしかった。なんでも娘さんが日本語の勉強に日本に留学中だとか。

欧米人が日本語を学ぶより、日本人が英語を学ぶ方がきっと簡単ですよ。日本語ができる?!ことを有利に思って、さあ外国語にももっと耳を開いてみましょうよ。