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Hirokoのオランダ便り 1995年6月(リサイタルのパンフレットより)

1.オランダという国 皆さんはオランダについてどんなイメージを持っていらっしゃるのでしょうか?チューリップと風車、レンブラントとゴッホ、「アンネの日記」のアンネ・フランク・・・そのオランダという国から奨学金がいただけることになり(これはオランダと日本の文化交流の一環で、だから私と交換に日本の大学で学んでいるオランダ人がいるはずである)、以前から念願のユトレヒト・コンセルヴァトワール(音楽大学)のマリアンネ・ブロック教授のもとで声楽を学ぶチャンスに恵まれたのは昨年のことだ。 私がアムステルダムのスキポール空港に降りたったのは8月も終わりで、日本の暑さと水不足からいうと夢のような、雨の続く秋の気配のする時期だった。かつては1万基もあった風車も今は観光用に900基あまり残っているだけだけれど、風車の国オランダ、つまり風が吹くといったら、まあすごいのである。 雨の日の傘などさそうものなら、壊れることをまず覚悟しておかなければいけない。フード付きジャンバー、この国で暮らす必需品である。風が吹く、つまり土地(Land ラント)が平ら(Neder ネーデル)なのだ。(オランダHollandの別名Nederlandネーデルランドという国名はここから来ている。)坂道がないから自転車がものすごく多い。自転車を持って普通の電車にも地下鉄にも路面電車(トラム)にも乗れるのだ。折りたたみの自転車ではなく、普通の自転車をである。何とも便利な話だ。 2.オランダ式挨拶 「オランダ式挨拶」だが、これにはたいてい少々閉口する。 一般的にオランダ人たちは出会った時と別れる時、握手だけではなく抱き合ったり、右左右と3回頬にキスし合う。マリアンネ先生のレッスンの前後もそうである。例えばこんなこともあった。 火曜日は私の前に、たいていテノールのティルクが来ていた。先生と彼はいつも派手に挨拶をするのだけれど、当然それが私の方にも回って来る。180cm以上もあるオランダ人の男性の顔が私の方に迫って来る。握手はともかく、結局最後まで慣れなかったけれど、だからティルクは私のことをシャイだと思っていた(いる?)らしい。マリアンネ先生が「違うのよ、日本にはこういう習慣がないのよ」と説明すると、「えっ、日本人ってキスしないの?」と驚くことしきり。「じゃあ、どうするの?」というので、ニコッと笑って軽くお辞儀をすると、「ふ~ん」とかなり不審そう。そういえば、しばらくたって「ヒロコはだいぶ挨拶のキスがうまくなった」と言ってくれたけど、でもやっぱりいまいちうまくいかない。日本に帰って来るとそういうことはないからやれやれだけれど、時々淋しく思うこともあるから不思議である。 3.オランダ人の語学力 [...]

6月 1st, 1995|blog, コラム|

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